太陽光発電用語集



アーヘンモデル
Aachen Model
1990年代初頭にドイツのアーヘン市(人口25万人)が実施した太陽光発電と風力発電の経済的誘導策。アーヘン市は電力料金の1%を使って太陽光発電と風力発電からの電力の買い上げ価格を一定期間保証した。太陽光は20年、風力は15年間である。買い上げ価格は早期設置者ほど高く設定され、早めに設置することを促すようになっている。
アモルファス
Amorphous
非結晶物質のこと。アモルファス半導体は、結晶構造を持たないが、太陽光を電力に変換する特性を持つ。アモルファスシリコンは、結晶シリコンと比較して低コストの太陽電池を作れる。
アレイ
Solar Array
外部へ取り出せる電圧・電流になるように、複数個のモジュールを結線して架台の上に設置したもの。モジュールを直列につないで高い電圧にし、それらを並列につないで大電流を得る。
一次エネルギーと二次エネルギー
Primary Energy & Secondary Energy
ひとつの国のエネルギー供給を入口側からみたときに、自然界から掘り出したり、海外から輸入したりするエネルギーを一次エネルギーと呼ぶ。石油、石炭、天然ガス、原子力、水力など。このエネルギーを転換部門で利用しやすいエネルギーに変換する。例としては、石油を精製所でガソリンや灯油に、石炭・石油・天然ガスを火力発電所で効率およそ40%で電力にする。このようにして作られた、ガソリン、灯油、都市ガス、電力などのエネルギーを2次エネルギーと呼ぶ。転換損失があるため2次エネルギーは一次エネルギーより小さくなる。2次エネルギーは最終用途で消費される。エネルギーの最終用途は、産業、家庭、業務、輸送の各部門に区分されて、エネルギー統計が作られてる。これは最終的に何のためにエネルギーが使われているかを示している。家庭部門のエネルギー消費は、暖房、冷房、給湯、料理、照明・動力に区分されている。紛らわしいのは家庭にある自家用車のエネルギー消費だが、これは輸送部門に分類されている。
ウインド・ファーム
Wind Farm
風力発電機を多数並べてエネルギーを生産する農場という意味からつけられた名称。欧州、インドなども含めて世界中の風力発電は合計2億kWにまで達している。
エアマス
Air Mass
太陽の光が地上に届くまでに通過する空気の量。AMで表す。太陽が真上にある時AM1、朝日や夕日のように太陽が低い位置にあるとエアマスは大きくなる。太陽電池の定格出力はAM1.5の条件で測定する。
エネルギーペイバックタイム
Energy Pay Back Time
再生可能エネルギーの設備の生産に投入されたエネルギーを、どのくらいの期間で回収できるかを示す年数。水力発電や風力発電は1年以内、太陽光発電は1~1.5年程度である。この期間が長ければ、再生可能エネルギーとしての役割は低下する。
温室効果ガス
Greenhouse Effect Gas
温室効果の原因になるガスとして京都会議(COP3)で決められた6種類のガスのこと。二酸化炭素、メタン(21)、一酸化二窒素(N2O、310)、ハイドロフルオロカーボン(HFC、1300)、パーフルオロカーボン(PFC、8000),六弗化硫黄(SF6、23900)である。括弧内の数字は二酸化炭素を1とするときの単位重量あたりの温暖化係数を示している。この数字が大きいと微量でも温室効果は大きい。
温度係数
Temperature Coefficient
太陽光発電の発電効率は周囲温度が上昇する時には低下する。その度合いを示す係数。シリコン太陽電池の場合で1℃あたり0.3~0.4%の出力低下になる。



カーボンニュートラル
Carbon Neutral
木材や農業廃棄物などはバイオマスと呼ばれるエネルギー資源は、炭酸同化作用により太陽の光を吸収して空気中の二酸化炭素を固定する。バイオマスをエネルギーとして利用するとき、燃焼などにより二酸化炭素が排出されるが、植林や農業を行なえば再びバイオマスが大気中の二酸化炭素を吸収する。このため、バイオマスの利用は大気中の二酸化炭素を増加させない、このことをカーボン・ニュートラル(炭素分が中立的)と呼ぶ。ただし植林しなければニュートラルにはならない。
買取価格
Price of Feed in Tariff
太陽光発電によって発電した電力は、長期固定価格で電力会社に売却できる。一般家庭での電力料金は、基本料金と従量料金の合計であるが、およそ1kWhあたり23円程度である。これに対して太陽光発電の余剰電力買取価格は、2009年11月から48円、2011年月から42円となった。2012年7月から開始される再生可能エネルギー買取制度では、10kW以上の太陽光発電は42円/kWの予定。
学習曲線
Learning Curve
大量生産による製造方法は、量産が進むほど学習効果により知識が増加して、賢い生産が可能になり、コストが低下する。半導体、メモリー、家電製品などでその曲線が計測されている。太陽光発電では、累積採算量が2倍になるとコストが80%に低下している。
化合物半導体
Chemical Semi Conductor
シリコンを使わず、銅、ガリウム、ヒ素、イソジウム、セレン、リン、カドミウム、硫黄などの化合物から作られる太陽電池。CIS太陽電池は、銅、イソジウム、セレンを利用した太陽電池である。
架台
Frame Structure
太陽光パネルを適切な角度に設置するための構造体。強風に耐える強度が必要。スチールまたはアルミのパイプ構造が多い。
片流れ屋根
Shed Roof
屋根の傾斜面が一方向のみになっているもので、傾斜面が直南方向に向いていると太陽光モジュールの設置に好都合である。
京都議定書・京都プロトコル
Kyoto Protocol
6種類の温室効果ガスを対象にして、その1990年レベルからの二酸化炭換算削減率をEU(ヨーロッパ連合)8、米国7、日本6%にすることを決定した。先進国全体で5.2%の削減であり、先進国全てにその目標数値が決定された。目標年次は2008年から2012年、ネット方式、先進国間の排出権取り引き、バブル(複数国での共同達成)などが認められた。開発途上国には制約が課されない。その後米国は離脱したが、ロシアの参加により実効的となった。
切妻屋根
Gable Roof
屋根の傾斜面が二方向に流れているもので、南側に向いた傾斜面を利用して太陽光モジュールを設置する。
グリーン水素
Green Hydrogen
持続可能な形でバイオマス、水力発電、太陽光発電、風力発電など再生可能なエネルギーから生産する水素をグリーン水素と呼ぶ。水素を圧縮タンクに搭載した燃料電池車が普及すると走行中には水しか排出しなくなり、二酸化炭素の排出減少につながる。その燃料になる水素をどのように供給するかという問題がある。水素は自然界にそのままでは存在しないから、その水素を二酸化炭素排出なしで作るには、グリーン水素が重要になる。
グリーン電力
Green Electricity
太陽、風力など自然エネルギーで発電した電力、あるいはこれを普及させるための制度。自然エネルギーによる発電は、二酸化炭素を排出せず環境への負荷が小さく望ましいが、まだコストが高く普及しにくい。そこで、その普及をはかるために、電力会社などが自然エネルギーによる発電電力を高く買い上げて、利用者も少し高めの電気料金を払ってこの電力を購入することができるようにする。ドイツでは電力会社がグリーン電力の事業者から電力の買い取りを義務付ける法律が成立している。消費者は選択権が与えられ、環境によいものをすこし余分の料金を払って普及させる活動に参加できるようになる。
グリーン電力証書
Green Electricity Certificate
グリーン電力証書システムとは、自然エネルギーによって発電された電力のもう一つの価値、即ち化石燃料削減・CO2排出削減などとの価値(これを環境付加価値と呼ぶ)を「グリーン電力証書」という形で具体化することで、企業などが自主的な環境対策のひとつとして利用できるようにするシステムである。発電設備を自ら所有しなくても、環境付加価値=グリーン電力証書を購入することにより、自らが使用する電気が自然エネルギーによって発電されたものとみなすことが可能となる。
傾斜角
Tilt Angle
太陽光パネルが、1年間に太陽光をできるだけ多く受光できるように傾けて設置する角度。東京付近では30°程度であり、日本国内の北の地域では35~40°、南では20°にする。
光合成
Photosynthesis
太陽の光を吸収して、二酸化炭素と水からバイオマスを作りだすこと。多くの植物はその葉緑素で光を吸収して、変換効率1~2%で有機物を合成している。効率は低いが、エネルギーを貯蔵しているところが太陽光発電とは異なっている。
光電効果
Photovaltaic Effect
塩化銀でおおわれた白銀電極を電解液に浸して、光を照射すると電流が流れる。この現象を1839年にアレクサンドル・エドモン・ベクレル(仏の物理学者)が発見し、光電効果またはベクレル効果と呼ばれている。その息子アンリ・ベクレルはウランの放射能を発見し、その名は放射能の量を表す単位となっている。
コジェネレーション
Cogeneration
熱と電力を同時に供給するエネルギー供給システム。一般に発電所では、燃料を燃やして発電する時の効率は40%で、残りは排熱となってしまう。この排熱は、低温熱需要があれば、有効に利用できる。すでにオフィスビルや病院、ホテル、健康ランド、あるいは産業用に導入されている。ガスや灯油、重油を燃やしてタービンやエンジンを回して発電し、排熱で暖房や給湯を行うと、熱と電力の総合利用率は80%程度になる。
固定価格買取制度
Feed In Tariff
太陽光発電など再生可能エネルギーによる電力を長期間にわたって固定した電力価格で買い取る制度。ヨーロッパで90年代に開発され、太陽光発電の普及に効果を発揮した。



再生可能エネルギー
Renewable Energy
自然界を流れる枯渇しないエネルギーのことで、太陽、風力、水力、地熱、バイオマス、波力などを指す。「再生可能」はRenewableの直訳である。自然エネルギーというと、石油、石炭など枯渇性資源も自然界から得るエネルギーであるとの反論があるため再生可能エネルギーと呼んでいる。
散乱光
Scattered Irradiance
太陽光が空気中のチリ、雲、建物、海、雪などによりランダムな方向に反射することにより生じる光。太陽電池は散乱光でも発電するので、曇りの日でも少しだが発電出力が得られる。
持続可能な社会
Sustainable Sociey
現在の世代と将来の世代が資源と環境の恵みを享受できるような社会。そのひとつの要素は化石燃料に依存しない永続的なエネルギーを基礎とする社会。
住宅用太陽光発電
Residential Photovaltaics
住宅の屋根に設置する太陽光発電で、規模は2~5kW。太陽の光が得られる日中は発電した電力のうち余剰分が発生するので、電力会社に売却できる。(余剰電力買取制度)
省エネルギー
Energy Saving
エネルギー消費を減少させること。エネルギーを使わずじっとがまんすることもその一つだが、多くは技術的改善と利用方法の改善によってエネルギー利用効率を向上させることを意味する。一般に省エネルギーは代替エネルギーを探すよりも経済的な投資である。省エネの方法は断熱化、燃焼制御、排熱回収、ヒートポンプ、ヒートパイプ、低温蒸気タービン、蓄熱、流量制御、モーター回転数制御、機能的局所照明、インバーター制御、エネルギー管理エキスパートシステムなど多様。
シリコン
Silicon
太陽電池を構成する半導体を作る主要な金属。砂や岩石の主成分であり、地球上には大量に存在する。
水素エネルギー
Hydrogen Energy
水素は酸素と燃焼して熱を出して水になり、このとき大気汚染の問題が生じない。また燃料電池で発電すれば、高い発電効率が期待できる。とくに1980年代末に固体高分子型燃料電池の小型化が進展したため、水素エネルギー利用への期待が高まっている。水素は自然界にないので、化石燃料や再生可能エネルギーから製造する必要がある。バイオマスから水素をとりだすと二酸化炭素を排出するが、この二酸化炭素はカーボンニュートラルである。水力発電、太陽光発電、風力発電による電力で水を電気分解して水素を製造すれば、二酸化炭素の排出はなく持続可能である。
水素自動車
Hydrogen Car
現状の自動車に使用されている内燃機関に水素を燃料として吹き込んで燃焼させて走行する自動車。水素で走行する自動車は、大気汚染が少なく、燃料電池が実用化されなくても水素が豊富に供給されれば利用可能である。しかし、内燃機関の効率が燃料電池よりも低いこと、窒素酸化物の排出の問題が残っている。
ストリングス
Strings
太陽電池のモジュールを複数個集めて直列に結合したもの。出力電圧はモジュールの合計電圧となり、各モジュールを流れる電流は同一になる。出力電圧はパワーコンディショナーへの入力電圧になるように決定する。このストリングを複数個集めるとアレイになる。
設備利用率
Capacity factor
発電所が1年間に発電する電力を表すもので、1年間(8,760時間)のうちどのくらい有効に運転されているか、発電設備が定格出力を出している割合を示す。
設備利用率=年間発電量/(定格出力×8760時間)
1kWの太陽光発電パネルが、日本では1年間に定格出力でおよそ1,050時間動作する。このとき、設備利用率は、1050/(1×8760)=0.1198(11.98%)になる。
火力発電、原子力発電、地熱発電は、運転しようとすれば100%の設備利用率が可能だが、定期検査が必要であり70~80%になる。再生可能エネルギーの場合には、自然が相手なので、水力45%、風力20~40%、太陽光発電12%程度になっている。設備利用率が大きければそれだけ経済性がよくなるので、条件がよい場所を選ぶことが重要になる。太陽光の条件はそれほど変わらないが、風力の場合には風況のよい建設地点を選択することが非常に重要となる。
セル
Cell
太陽光発電の最小単位。およそ10㎝角の大きさで電圧0.5V~1.0V、電流はおよそ5A程度。シリコン結晶、シリコン多結晶、アモルファスシリコン、化合物半導体などによって製造されている。
ソーラーアシストカー
Solar Assist Car
電気自動車、ハイブリッドカー、燃料電池車の屋根に太陽電池をとりつけて、所要電力の20~30%を太陽エネルギーから得て走行する自動車。
ソーラーカー
Solar Car
太陽エネルギーを動力に変換して走る自動車。車体上部に太陽電池 を置き、太陽光を電力に変換し、この電力でモーターを回して走行する。雨天時に備えてバッテリーに充電した電力を利用することもできる。現在は実験的に製作され、ソーラーカー・レースで性能を競い合っている。ソーラーカーは、太陽電池の設置量が限られるので、モーター出力は1~1.5kWであり、車体を軽く、空気抵抗を小さくし、流線型のボディーから生じる揚力を利用する設計にするのが普通である。都市内で利用するソーラーカーは、家庭用電力からも充電できるようにした近距離用の電気自動車に似たものになり、大気汚染防止にも役立つと考えられている。
ソーラーシステムインテグレータ
Solar System Integlater
太陽光発電の設置に関する事業を統合するビジネス。太陽電池のメーカーではなくても、太陽電池を購入して、設置計画、資金計画を立案して実施するビジネス。
ソーラーハウス
Solar House
太陽エネルギーを利用して、温水供給と暖房を行う住居のこと。太陽電池による電力供給を付加することもある。また冷房を含めることもある。屋根に太陽熱コレクターを置き、温水タンクまたは床下に砕石蓄熱層を設けて熱を貯蔵し、主として温水供給と暖房を行う。住宅の設計自体も熱負荷を減らし、夏は風通しがよく冬は暖かい工夫をする。ポンプやファンのような能動的機器を利用せずに太陽エネルギーを利用する住居設計の方法をパッシブ・ソーラーと呼ぶ。能動的機器を活用して太陽エネルギーを暖房・冷房、電力供給にまで利用することをアクティブ・ソーラーという。
ソフトエネルギー・パス
Soft Energy Paths
物理学者ロビンスによって提唱されたエネルギー戦略。エネルギーの利用効率の向上と自然エネルギーの利用を重点において、エネルギー消費とそれに伴う環境への負荷を減少させるのが最も経済性が高く現実的である、というのがその内容である。原子力と石炭を増大させていこうとする現行の路線が硬直的で危険であることからハードエネルギー・パスと名付けた。ハードエネルギー・パスが既存のエネルギー供給産業の論理であり、ソフトエネルギー・パスは環境を重視したエネルギー利用者側からの考え方といえる。人々の身近にある自然エネルギーをソフトエネルギーと呼び、その特徴を非枯渇、分散的、理解しやすい、最終用途の質と量に適合しているとし、新エネルギー開発への広範な活動の契機を生み出した。エネルギー問題の基本的なアプローチの一つとして重要な思想。



太陽高度
Solar Altitude
太陽の位置を示す水平からの角度。春分または秋分の日の正午の太陽の高度=90°- 緯度によって表される。夏至の日には、これに+23°、冬至の日には-23°とすれば太陽高度になる。
太陽電池
Solar Cell
太陽光発電を行う素子。電池は電気を貯めるものではなく、発電する機能を持つことを意味している。太陽の光が半導体の内部の電子を外部へたたき出して、利用可能な電力を得ることができる。
太陽電池の発明
Invention of Solar Cell
1884年チャールズ・フィッツ(米国)が、半導体のセレンを使用したセレン光電池を発明。1954年ベル研究所(米国)のダリル・シャピン、カルビン・フラー、ジェラルド・ピアソンによって、結晶理離婚太陽電池が発明された。その時の効率は6%であった。
太陽熱発電
Solar Thermal Power System
太陽光を集中させて高温の熱を取り出し、蒸気を作り蒸気タービンを回転させ発電する方式。太陽光を集中させるのにタワー集光式と放物面(とい型または皿型)集光式がある。前者は多数の数m角の鏡(ヘリオスタット)で太陽を追尾し、太陽光を反射してタワー上の一点に集める。後者は放物面で太陽を追尾する。集光比は200~1000倍程度になり、循環する冷却剤を通して取り出される蒸気温度は250~400℃。高温の熱を貯蔵するために溶融塩蓄熱器を持ち、日射変動に対応し、夜間も発電可能。1980年代にサンシャイン計画で実験を行ったが、経済性が低いと評価されて終了した。その後、日本では開発が行われていない。米国では日射の強い砂漠地域で継続的に研究され、大規模化しつつある。再び見直されつつある。
太陽輻射
Solar Radiation
物体の表面からはその温度に応じてエネルギーを放出する。太陽の表面温度は6000℃であり、この高温から放出されるエネルギーのこと。地球表面ではおよそ1kWh/m2のエネルギーである。
太陽炉
Solar Furnace
太陽光を集光して高温を得る炉。最高3000~3500℃の高温が得られ、高融点の金属、耐熱材料など高温物性の研究に利用される。このような高温は他の手段では実現できず、炉壁からの不純物の混入がなく、任意の気体中の試料を加熱でき、急加熱・急冷却が可能なため、物性研究に使用されている。多数の鏡で太陽光を反射させる方式や皿型放物面で集光する方式がある。フランス・ピレネー山中の国立太陽エネルギー研究所の太陽炉は、ビルの側面が放物面になっており、世界最大の出力(1000kW)。
多結晶シリコン
Multi Crystal Silicon
単結晶シリコンの問題点である高コストを解決するために工夫された太陽電池で、融解したシリコンを鋳型で凝固させて製造する。全体がひとつの結晶とならず、無数の単結晶がランダムな方向に配置される。そのため効率が低下するが、これを改善する工夫が行われている。
多接合太陽電池
Multi-junction Solar Cell
太陽電池はP型半導体とn型半導体を接合して作られている。このPn接合部を複数にして、それぞれの接合部で波長の異なる太陽光を吸収するようにしたもので、理論的効率は60%に達するとされている。
単結晶シリコン
Mono Crystal Silicon
シリコン原子が規則正しく並んだ結晶状態のシリコン。このシリコンを使用して太陽電池を製造すると高効率の性能を得ることができるが、高価になる。
直散分離
Separation of Solar Beam
水平面の日射量の観測データから傾斜した太陽電池パネル面への太陽光エネルギーを知るには、水平面の日射量を直達光と散乱光に分離して計算を行う。この手続きを「直散分離」と呼んでいる。
直達光
Direct Beam
太陽光が散乱せずに直接的に受光面へ到達する場合の光。周囲に反射物がないところでは、晴れた日には、受光面へ到達する太陽光の多くは直達光である。
追尾型太陽光発電
Tracking PV System
太陽電池パネル面を太陽の動きに合わせて自動的に調整する方式。傾斜角と方位角の2軸追尾型とそのうち一つだけの1軸追尾型がある。設備投資は増加するが、発電量は大きくなる。
定格出力
Rated Output
カタログに記されている発電能力。kWで表す。測定条件は25℃、エアマス1.5、輻射強度1kW/m2。
低炭素社会
Low Carbon Society
二酸化炭素の排出を大幅削減する社会。地球温暖化が進行しており2100年には2℃の気温上昇が避けられないが、これ以上の気温上昇を避け、地球温暖化を止めるには二酸化炭素の排出を大幅に削減する必要がある。2050年ころまでに現状の二酸化炭素の排出量を60~80%低下させようとする構想が、イギリスなどヨーロッパ政府の長期的エネルギー計画として検討されている。エネルギー利用効率を高くして必要なエネルギー需要を小さくし、化石燃料依存から脱出することが必要。



バイオマス
Biomass (Biological Mass)
生物資源でエネルギーとして利用できるものをいう。農業廃棄物、さとうきび、石油に類似した液体燃料を抽出できる植物などがある。乾燥地帯でも育ち成長が早い植物で、高発熱量の炭化水素を多く含有する種類が望ましい。検討されている種類はホルトソウ、アオサンゴ、ユーカリ、ミドリムシなどがある。オーストラリア原産のユーカリ,は成長が非常に早いため、世界各地で緑化の目的で植樹されている。
ハイパーカー
Hyper Car
米国ロッキーマウンテン研究所のロビンスの提唱した超軽量自動車。現状の自動車でも燃料電池自動車にしても、もし自動車の車両重量を大幅に減少できれば、必要な駆動力が減り、駆動装置を小さくできるので効果的な省エネルギー自動車にできる。ハイパーカーは、航空機に利用されている軽量で強度の大きいカーボン強化繊維で車体を製造して、重量を現状の車両の半分以下(400kg程度)にすることを狙って設計されている。
バイパスダイオード
By-Pass Diode
太陽電池の一つのセルが故障したり、光の影になって発電しない時には、直列につながるストリングの全てが発電しなくなる。これを防止するために、発電しない部分を無視するように配置するダイオードのこと。
ハイブリッドカー
Hybrid Car
エンジンの出力とバッテリーの電力を組み合わせて利用する自動車。スタート時にはバッテリーからので電力でモータにより走行し、速度が上がるとエンジンが始動して車軸を回転しながら発電してバッテリーに充電する。ブレーキを踏むと運動エネルギーが電力に変換されてバッテリーに回収される。効率が高く同型の自動車の2倍の効率である。
発電効率
Conversion Efficiency
太陽の光のエネルギーを電力に変換する割合。一般に市販されている太陽電池の効率は13~20%である。理論的上限は60%とされているが、最大効率の実現例は35%程度である。
発電貯金
PV Saving Account
太陽光発電により発電した電力の買い上げ金を振り込んでもらう専用の預金口座。専用口座にすることにより、発電収入がはっきりわかる。(株)発電マン社長の岩堀良弘氏の発案で知られている。
パワーコンディショナー
Power Conditioner
太陽光アレイからの電力は直流であるため、これを通常使用している交流に変換して、送電線へ送り出す装置。また、常に最大の発電を維持するよう制御する装置でもある。
ピークオイル
Peak Oil
石油生産のピークが21世紀の前半にくるという予想。中国やインドなどの人口の大きな開発途上国で近代化が進み、モータリゼーションが起こって、石油の需要が急激に増大し始めている。油田のライフサイクルは、発見、採掘開始、生産のピーク、下降、閉山となり、釣鐘曲線に従っていつかは枯渇する。1970年以降、米国では国内産石油の生産が減少しており、1996年以降は輸入石油が国内産石油を上回っている。2006年にはピークに達したとの説もある。多くの油田が枯渇してゆくと、埋蔵量の大きい中東への依存度が高まると予想されている。
風力発電
Wind Power
風の力を利用する発電。風のよく吹く地点に風車を設置して、その回転力で発電機を回す。型式としては、水平軸プロペラ型(3枚のブレード)が最も一般的である。風速毎秒3~20m程度の領域で発電するように設計する。水平軸プロペラ型では風向に合わせてプロペラを水平回転させる必要があり、小型機では尾翼を使い、大型機では油圧で回転させるようになっている。ダリウス型は、対称翼断面のブレードを垂直軸まわりに回転できるように配置し、発電機を地上に固定することができるが、始動には外部から力をかける必要がある。風の持つ運動エネルギーは風速の3乗に比例するが、その30~40%を電力に変換できる。風況の良い場所に風力発電機を多数並べて発電するシステムをウインドファームと呼ぶ。
分散型エネルギー
Distributed Energy System
エネルギー需要に適合するように小規模のエネルギー源を分散的に配置して実現したエネルギーシステム。集中型のシステムと比較すると柔軟で災害に強いシステムにできる。
分散型発電
Distributed Energy System
これまでエネルギー供給システムは、大規模集中型発電所に見られるように、都市部などの需要地から遠い場所に建設され、送電線による損失があり、供給地域と需要地域との深刻な利害対立が生まれた。分散型発電はこれに対してエネルギー需要の近くで発電する損失の小さいエネルギー供給方法である。住宅の屋根においた太陽電池。農場の近くの風力発電やバイオガス装置。小規模水力発電、都市内のビルや集合住宅に天然ガスから電力と熱を供給するエンジン発電やマイクロガスタービンなどのコジェネレーションなどがある。
変換効率
Conversion Efficiency
エネルギーの変換装置では、燃料を投入して電気、光、動力、熱を得ている。
このとき変換効率は、有効に利用できる割合を示すもので、以下のように定義されている。
変換効率=有効に利用されるエネルギー/投入したエネルギー
(例)
白熱電球の変換効率=光のエネルギー/投入した電力=おおよそ10%以下
ガソリンエンジンの変換効率=有効な動力/投入した燃料の熱量=約20~30%
この変換においてムダになったエネルギーは排熱として外部へ放出されている。
方位角
Orientation
太陽光パネルが、1年間に太陽光をできるだけ多く受光できるように設置する真南方向の角度。
本多・藤島効果
Honda-Fujishima Effect
酸化チタン電極(n型半導体)と白金電極を水溶液に入れ、酸化チタン電極に太陽光を当てると、白金電極側から酸化チタン電極へ電流が流れ、同時に水が電気分解され、白金電極から水素が、酸化チタン電極から酸素が発生する。1973年、東大の本多健一教授と藤島昭(当時大学院学生)によって発見された現象であることから、このように命名された。酸化チタン以上の特性をもって水を分解する物質は発見されていない。

ま や

マイクログリッド
Micro Grid
既存の大規模発電所からの送電電力にほとんど依存せず、エネルギー供給源とエネルギー消費施設をもつ小規模のエネルギー・ネットワーク。エネルギー供給源としては分散型電源(太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、コジェネレーションなど)があり、その間欠的なエネルギー供給特性と住宅、オフイス、学校などのエネルギー需要特性とを適合させてネットワーク全体を最近の情報通信技術を利用して管理運転することに特徴がある。
メガソーラー
Mega Solar
メガは100万のこと。1MW(メガワット)=100万W=1000kWであるので、1000kW以上の大規模太陽光発電をメガソーラーと呼んでいる。
モジュール
Module
太陽光発電のセルを20~50ケ集めてひとつのユニットとして人間の手で運びやすい大きさにしたもの。電圧20V~80V、電流5~20A。太陽電池パネルともいう。製造・販売時の単位の大きさである。
余剰買取制度(FIT)
Feed In Tariff
住宅用の太陽光発電の電力のうち、住宅内で利用する分を除いた余剰電力を買い取る制度。平均的な住宅では、発電した電力の50%が余剰電力になる。
寄棟屋根
Hipped Roof
屋根の傾斜面が4方向に流れているもので、太陽光モジュールの配置に工夫が必要となることが多い。傾斜面のうち、南方向を向いているのはひとつであり、東方向、西方向の斜面に太陽光モジュールを設置すると、バランスをとる必要が生じる。

アルファベット

CO2削減量
CO2 Reduction
化石燃料による発電を代替する場合に、1kWhあたりのCO2排出の減少を示す数値。太陽光発電は、石炭火力発電を代替するとき0.9kgCO2/kWh、石油火力発電の代替では0.6kgCO2/kWhを削減する。
COP3
The 3rd Session of the Conference of the Parties
気候変動枠組み条約第3回締約国会議のこと。1997年12月に京都市で行われた。温暖化を防止するため温室効果ガス削減の目標値と具体策が議論され議定書にまとめられた。参加者は世界160ケ国以上の国々の代表、国際機関、NGOなど。これまでCOP1は1995年にベルリンで、COP2は1996年にジュネーブで開催された。
ESCO
Energy Service Company
省エネルギーの方法を提案してその省エネルギーによるコスト削減の一部を報酬として受け取るビジネス。省エネルギーによって浮かせる資金を担保にして資金を調達することも行われている。適用分野は、高効率照明、高効率モータ、可変速モータドライブ、エネルギー管理システムなどがある。
IPCC
Intergovernmental Panel on Climate Change
気候変動に関する政府間委員会の略称。国連と世界気象機関により1988年に設立され、2000人以上の科学者の気候変動に関する研究成果をまとめて、問題解決に必要な政策を示している。ここでは実際の研究を行うものではなく、科学者の研究をまとめることが目的である。作業部会は3つあり、①気候システムと気候変動の科学的知見の評価、②社会経済システムや生態系の脆弱性、気候変動の影響と適応策の評価、③温室効果ガスの排出抑制と気候変動の緩和策となっている。2007年には第4次報告をとりまとめ、温暖化が人為的原因であることが確実とした。
kW(キロワット)とkWh(キロワットアワー)
kW & kWh
この両者はよく間違えらる。1kWの電気製品を1時間利用すると、1kW×1時間=1kW時(これをkWhと書いてキロワットアワーと読む)の電力量が消費されたことになる。水道の水をお風呂に入れるときを考えると、1kWは電気を送り出す流量(単位時間あたりの水の流量)の大きさであり、1kWhは、その1時間に送り出された電力のエネルギー量(水の量)を表します。このエネルギー量はお風呂に溜まった水の量に似ていて、1kWhはエネルギーの量を表している。
LCA
Life Cycle Assesment
ライフサイクルアセスメント。製造物の原材料入手と輸送、製造、流通、使用、廃棄のすべての段階におけるエネルギーの投入、環境負荷を評価する方法。この方法により各種工業製品の環境に与える影響を評価している。
PV
Photovoltaics
フォトボルティクスの略称。元来は光起電力のことだが、太陽光発電を意味する言葉として使われている。