電子ブック1号機

 1980年代末に時計や電卓用より大きな液晶画面が作られるようになりました。これを利用した読書する道具(電子ブック)ができると考えました。実際に、人間はキーボードから入力するよりも、画面を読んでいる時間のほうが80%以上であると感じたからです。紙資源の節約にもなり、エネルギー効率も高いと予想しました。
 これは1989年に試作した電子ブックの第1号機です。当時、ノートの大きさの液晶パネルが入手できるようになり、これを2枚使って見開きの本のような形に作りました。新聞や小説のテキストをパソコンで入力してファイルにしました。このテキストファイルを、当時ソニーが開発した最小のFD(2インチ・フロッピーデイスク)に格納しました。電源を入れるとこのファイルを表示します。目次から自由にそれぞれの内容のページにジャンプできます。次頁、前頁キーで自由に読み進めるようになっています。


   電子ブック1号機(見開き2面型)の仕様

   試作完成日:1989年10月27日
   重量:2,700グラム
   サイズ:186×280×54mm
   ケース:アルミ製
   電源:電池 単3×6本 、ACアダプタあり
   キー:目次,次頁、前頁、左右、上下、確定、電源(赤ボタン)
   外部メモリー:SONY製2インチ・フロッピーディスク
   ディスプレイ:モノクロ液晶
図1.電子ブック1号機画面(左端にあるのは2インチ・フロッピーディスクと単3バッテリー)



図2.電子ブック1号機側面(5個のキーと電源ボタン(赤)、その右側がFD挿入口)